ドクターP その3

「ドクターP」が、Bの所属する学生向けのキャリアセンターに訪れてから、数週間後、再び彼は、Bの相談窓口に現れました。B自身は、彼の顔を良く覚えていたので、目が合った瞬間、微笑んでしまいました。彼も嬉しそうに微笑むと、「卒業後の進路が決まったので、ご報告に来ました。」と言うのです。Bは、そのまま何も聞かずに話しを聞いていると・・・。現在、3年生までに、ほとんどの卒業に必要な単位を修得してしまったので、今から、医学部のある大学への受験の準備をしていきたいと言うのです。Bは、最初、彼が何を言っているのか、耳を疑いましたが、彼がハッキリと医師をめざす為に、医学部のある大学を受験したいと言うので、彼が何を言わんとしているのかは分かりました。Bは、医師になりたいという学生に始めて出会ったので、何をアドバイスしてよいものかも全く分からず、只々、微笑んでいました。一方、当の「ドクターP」は、涼しい顔をしながら、立ち去ろうとしたので、Bは、自分のもっている医師に関する知識を総動員して、やっと彼に声を掛ける事ができました。「医学部の受験に理数系の偏差値は大丈夫なの?」と、実際は何と声を掛けるべきであったのか、何も思い浮かばない状態だったのですが、ご近所に住む、医師になったお兄さんが、理数系が得意だった事をかろうじて思い出し、経済学部である彼に思い切って質問してみました。ドクターPは、両手を広げて、分からないけれどやってみますと明るく応えてくれました。「医師 求人」サイトをながめながら、キャリアセンターにやってきた、彼が数週間後、医師をめざす決意をした、と戻って来たのです。Bは、このまま目の前から、彼を帰して良いのか分からない気持ちになり、来週の同じ時間帯にキャリア相談の予約を入れるよう、彼に提案しました。彼とは、もう少し話をしなくてはならないような気がしたのです。Bも、職業としての「医師」についての知識を蓄えなくてはと思い、反射的に彼を引きとめてしまいました。彼が、来週のカウンセリングの予約を入れ、キャリアセンターから出て行くのを確かめてから、Bは、職業「医師」について、リサーチしてみる事にしました。何をどう調査してよいのかも分からず、その時は彼と検索した「医師 求人」サイトばかり眺める始末でした。